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伏兵マツリダゴッホが快勝/有馬記念

有馬記念を制しマツリダゴッホの蛯名騎手(左)はゴール後、指を突き上げ絶叫
有馬記念を制しマツリダゴッホの蛯名騎手(左)はゴール後、指を突き上げ絶叫

<有馬記念>◇23日=中山◇G1◇芝2500メートル◇3歳上◇出走15頭(フサイチパンドラ出走取り消し)

 大番狂わせが待っていた。1番人気の天皇賞馬メイショウサムソンも、ダービーを制した歴史的牝馬ウオッカも敗れ、07年の頂点を極めた1頭は9番人気の伏兵マツリダゴッホ(牡4、国枝)だ。有力馬が後方でけん制し合う中、好位から抜け出してG1初制覇を達成。馬単、3連複、3連単でレース史上最高配当が飛び出した。ゴッホを管理する国枝栄師(52)は、今年のNHKマイルC(G1)でも重賞最高配当973万円の波乱を演出。「穴男」の本領で、有馬記念初Vも成し遂げた。

 誰が想像しただろうか。勝ったのは天皇賞馬でも、ダービー馬でもない。蛯名正義騎手(38)が騎乗した9番人気マツリダゴッホ。並み居る強豪を破って一気に頂点に上り詰めた。オーナーも生産者も来場しなかった異例の状況。それでも、持てる力を振り絞ってみせた。

 ファンはもちろん、蛯名本人も仰天の勝利。ゴール後、一瞬の間を置いて繰り出されたガッツポーズが、その驚きを物語っていた。「いいところまで残るとは思ったが、まさか勝つまでは…。僕自身が一番驚いたし、『あっ』と言っちゃった」。その一方で「状態はものすごく良かった。(前走の)天皇賞とは比べものにならないくらいだった」と、たたえることも忘れなかった。

 枠順が2枠3番となり、蛯名はロスなく立ち回ろうと意を決した。そして作戦通り、内々の好位を追走。最後の直線の入り口で逃げるチョウサン、ダイワスカーレットのすき間を迷わず突いた。「まだ早いかと思ったが、(スカーレットの)安藤さんが内に入る前に行きたかった」。先頭に立つと必死に追いまくった。スタンドはどよめき、観客から「蛯名! KY(空気読めない)!」と皮肉まで飛ぶ始末。それを「KYというより、CKY(超空気読めない)でしょう」と、ジョークでかわした。

 昨年9月、菊花賞出走をかけたセントライト記念。蛯名は落馬し、競走を中止した。皐月賞、ダービーに出られなかったゴッホにとっては、3冠戦の最後のチャンスもフイになった。「ショックだった。自分は大丈夫だったが、馬には精神的なダメージが残る可能性もあるから」。次の手綱は握らせてもらえなかったが、9月のオールカマーで7戦ぶりに騎乗し、このコンビでの重賞初Vを果たした。「落ちて、乗り替わって、でも戻してくれて。何とかしたいという気持ちだった」。大舞台で霧は完全に消え去った。

 年末最大の祭典は波乱に終わった。蛯名が愛馬の無念を晴らしたグランプリ。これもまた、後世に語り継がれていく。【和田美保】

[2007年12月24日8時37分 紙面から]

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